福島県郡山市の経営者・資産家向け相続対策

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土地の相続登記をしていない方へ|義務化に備えた相続対策

所有者不明土地問題の解消策を議論していた法制審議会は2021年2月2日、民法や不動産登記法の改正要綱案をまとめ同月10日に答申、今国会に関連法案を提出し成立を目指し、成立後、未登記物件は一定の猶予期間ののちに、改正法が適用され、過料の対象になる方向です。

所在者不明土地の解消に向けた取り組みの概要

相続手続きを行わない理由として、相続人がいない、相続人が決まらない、相続人が登記簿の名義を変更しない、など様々ですが、その多くは、相続した土地の使用予定がなく、売却も見込めないといった事情から相続登記をせずに放置するケースです。
これにより空き家、荒れ地の増加、所有者不明で取り引きできず、再開発や公共事業の支障となることから、法制審議会は2019年3月から議論していました。
また、『所有者の所在の把握が難しい土地 への対応方策に関する検討会』は「所有者の所在の把握が難しい土地 に関する探索・利活用のための ガイドライン」を作成しました。
このことで、政府が所在者不明土地の相続人の割り出しを本格化する姿勢が伺えます。
今後、未登記の土地やその上にある建物は、政府の調査により発見され、改正法により過料の制裁を受ける可能性が高まることになりました。

相続登記の義務化についての具体的な要綱案

  • 不動産の相続を知ってから3年以内の所有権移転登記を義務化
  • 名義人の住所や氏名が変わってから2年以内の変更登記を義務化
  • 正当な理由もなく登記を怠れば、それぞれ10万円以下と5万円以下の過料
  • 親族間で相続した遺産の分割協議が進まない場合、10年が経過すると、自動的に法定割合通りに分割する

などが盛り込まれ、成立すれば2023年度から順次施行するとみられます。

未登記の土地を登記する方法

登記申請は内容が複雑で、多くの書類を必要とし、相当の労力と時間を要します。
登記申請をご自身でされる場合は,事前にお近くの法務局でご相談されることをおすすめします。
また、司法書士や土地家屋調査士等の資格者代理人に申請手続を委任して行うこともできます。
必要書類と申請方法は下記の通りです。
※なお、福島県郡山市では、福島地方法務局郡山支局に申請を行うこととなります。

電話:024-962-4505(登記部門直通)
受付:8時30分~17時15分(土曜日・日曜日・祝日を除く)
登記相談は事前予約制による面談のみ。
詳しくはこちら⇒福島地方法務局 郡山支局

1 登記申請書

  • 所有権移転登記申請書(遺産分割協議書で登記する場合)
  • 所有権移転登記申請書(遺言で登記する場合)
  • 所有権移転登記申請書(法定相続分で登記する場合)

※ケースによって使用する書式が異なりますので注意しましょう。

2 必要書類

  • 相続登記の対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
  • 被相続人(亡くなられた方)の死亡時から出生時までの戸籍謄本一式
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書もしくは遺言
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 物件を取得する相続人の住民票
  • 固定資産評価証明書

3 申請方法

  • 法務局の窓口で申請
  • 郵送で申請
  • オンライン申請

相続人が増えると話し合いはより難しくなり、話し合いがまとまったとしても、手続き上、遺産分割協議書を作成して相続人全員の実印が必要です。
時間が経過するほど、相続人が増えて権利関係が複雑化します。
子供や孫の代にトラブルを持ち越さないためにも、相続登記は早めに済ませるのがベストです。
また、時間が経過してからの書類の作成や収集は難しいため、専門家への依頼も必要でしょう。

未登記土地・家屋の所有者変更時の納税義務

固定資産税は毎年1月1日現在の土地・家屋の所有者が納税義務者となります。
未登記の土地・家屋についても登記済物件と同様に、所有者変更の届出をされた日の翌年の年度分から新しい所有者が納税義務者です。
所有者を変更したときは、変更された日の年の12月末日までに家屋補充課税台帳登録名義人変更届を提出する必要があります。
未登記だった期間の固定資産税についても納付を求められることが想定されます。固定資産税の場合、市町村側は5年前まで遡って納付を求めることが認められています。
郡山市の土地・家屋現所有者(変更)届についてはこちら

土地の税金は地目ではなく現況で判断

相続した土地をどのように利用するかは、今後の節税にも繋がります。
毎年、土地の所有者に送られてくる「固定資産税納税通知書・課税明細書」に、登記簿上の地目と固定資産税上の現況地目が記載されています。
「土地の上に建物があるかどうか」で宅地か雑種地かも変わります。
この現況地目は、1月1日時点の現況を見て判断しているので、固定資産税の課税地目が違えば、固定資産税も違うこともお忘れなく。

建物登記も忘れずに

未登記の不動産には不都合があります。
それは土地だけでなく、建物の登記も同じです。
登記がないと所有者、面積、築年数などがきちんと確認できない為、売却もできませんし、所有権を主張できなければ、不動産を担保に融資を受けることもできません。
建物の登記には建築確認済証や建築会社の証明書が必要ですが、築年数が経過していれば、書類が行方不明であったり、建築会社がなくなっていたりということもあり、建物の権利が誰にあるか照明するのが難しくなります。
この場合、隣地の方に前から建物が建っていたことを証明していただいたりするのですが、隣地の方に実印と印鑑証明書を用意していただく必要があり、手間と迷惑をかけてしまいます。
そうなる前に対策をしなければなりません。

土地の登記の義務化に備えた相続対策

福島県郡山市でも、東日本大震災後、震災復興事業等において、不動産の相続登記が放置されていたことで、地権者の探索に膨大な時間と労力を要し、土地等の所有者が特定できずにいました。 そして、土地の売買、買収ができないといった問題が生じています。
また、空家問題の背景にもこれらの問題が大きく影響しています。
もし、相続登記が放置されていた土地を保有しているなら、登記簿に反映させる必要があります。
相続登記をせずに不利益を被るのは相続登記を放置した人ではなく、多くはその子供や孫にあたります。
そして、世代が進むほど相続人の数が増え、権利関係が複雑化し、解決が難しくなります。
何世代にも遡っての処理は、個別の合意や裁判手続きを経ることもありとても困難です。
所有権移転登記は3年以内とされていますが、子供や孫の代に不利益を持ち越さない為にも、早めの登記を行いましょう。
相続税の申告が、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内ですので、それと合わせて行うことをお勧めします。
あなたが遺産をどう残すかによって、子供や孫の負担は大きく変わります。
もし、複雑な権利関係にお困りなら、弁護士や司法書士など専門家への依頼も必要です。
この問題に相続してから直面するのではなく、事前の対策を講じることが大切です。