2021年4月1日
2021年2月5日、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」が閣議決定されました。
現在開会中である、第204回通常国会に提出される予定です。
この法律案の概要に、中小企業の事業承継を総合的に支援する「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)において、
『一部株主が所在不明であるため事業承継が困難となっている旨の認定を受けた中小企業者について、所在不明株主からの株式買取り等の手続きに必要な期間を5年から1年に短縮します。』と、盛り込まれました。
参考:経済産業省「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」
所在不明株主の株式売却制度とは?
事業承継やM&Aに大きな問題となっていた所在不明株。
発行者から発送される通知が株主に5年間到達せず、かつ、配当金も5年間受領がない場合に対象会社が当該株式を競売したり、一定の条件のもと任意売却したりすることができる制度がありましたが、この株式売却制度の利用には5年の期間が必要でした。
今回、その期間を1年に短縮することが可能になります。
所在不明株主の株式売却の流れ
不明株主の条件を満たした株式の売却の流れは以下の通りです。
株主の氏名や住所、株式の種類や数、株券を発行している場合には株券番号、売却に異議があれば3ヶ月以上の一定期間内に異議を申し出ることを公告し、かつ所在不明株主に対して株主名簿に記載された住所等に宛てて個別に催告します。
経済産業大臣の認定を受けた上で、上記の手法を行い、利害関係人からの異議が出ないなどの要件を満たせば、1年後に裁判所の許可を得て、会社等で株式を買い取ることが出来ます。
行方不明の株主がいて、親族への株式承継やM&Aに苦労されている会社オーナーには嬉しいルール改正ですね。